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自分好みの一杯を見つけたい!おうちでいただくコーヒー豆の選び方
カップから立ち上る香ばしい香り、つやつやと深く光るコーヒーの色、口に含むと広がる複雑な味わい……。美味しいコーヒーは、気持ちを整えたいときやリラックスしたい時など、日常の中で心のスイッチを切り替えるお手伝いをしてくれます。
そんな美味しいコーヒーをおうちで楽しみたいけれど、豆の選び方がわからない、なんだか難しそう、と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今日は、おうちで飲むコーヒー豆の選び方のコツを、ステップを踏んでご紹介します。記事の上から順に入門編、だんだんと専門的な内容になります。いろいろなコーヒーを飲みながら、ひとつひとつゆっくり試してみてください。きっと自分好みのコーヒーに出会えるはずです。
STEP.1 ブレンドコーヒーで自分の好みを探ろう
美味しいコーヒーに出会うには、まず自分の好みを知ることがとても大切です。でも、たくさんの種類の中からいきなり自分の好みを当てることは……難しいですよね。そこでまず試したいのが「ブレンドコーヒー」。ブレンドコーヒーとは、複数の種類のコーヒー豆を混ぜ合わせて作られるコーヒーのことで、そのお店が考える「美味しい」が表現されたコーヒーといえます。ブレンドが複数あるお店の場合は、味の違いが大きいものを2〜3種類選んで飲み比べると、その感じ方から自分の好みにたどり着きやすくなりますよ。購入者さまのレビューも、コーヒー豆選びのヒントになります。
また、朝にブラックで飲みたいコーヒーと、午後の休憩にカフェオレで飲みたいコーヒーなど、飲み方によって合うコーヒー豆も変わります。いつどんなシーンで飲みたいのかもイメージすると、より好みの豆に出会えるかもしれません。
飲むシーンや飲み方を問わず、日常にそっと溶け込む……そんなイメージで作った、珈琲焙煎所じゅんさんの看板ブレンドです。
「美味しいです!コーヒー初心者ですが、嫌味のない香り、味でまったりしております。」
https://www.creema.jp/c/coffee-jun/rating/sale
「よりそいブレンドは初心者の自分にはとても飲みやすいです」
(購入者様のレビューより)
とあるカフェのオーナーさんからの依頼で作った、your roasterさんのブレンド。「優しく丸みのあるマイルド」がテーマの、バランスの取れたブレンドコーヒーです。
「スイーツも勿論ですが、ベーグルサンドなどのランチのお供にぴったりだと感じました。」
https://www.creema.jp/c/yourroaster/rating/sale
「深すぎな苦味ですが優しいまろやかさがあり、どんな時でも美味しく頂けます。アイス、カフェオレ、熱々のブラック、どれもピッタリでした✩」
(購入者さまのレビューより)
バランス良く飲みやすい、でも香ばしさや深みも感じられ、アフターテイストにほんのりと華やかさが残るように…そんなイメージをつきつめて誕生した、あひる珈琲さんのオリジナルブレンドです。
「酸味のあるコーヒーは苦手なのですが、これは美味しいです!酸味が、飲みやすいコーヒーのいいアクセントになっていて、とまりません。」
https://www.creema.jp/c/ahiru_coffee/rating/sale
「香りが良く、酸味や苦味のバランスもちょうど良く、後味に広がる華やかな風味が美味しいコーヒーです。」
(購入者さまのレビューより)
斉藤珈琲さんのこちらのセットでは、キャラクターの異なる3つのブレンドを試せます。飲み比べて好みを探ることはもちろん、気分によって飲むコーヒーを変えたい方にもおすすめです。
「パッケージをあけた途端、ほっとするような深いコーヒーの香り…!
https://www.creema.jp/creator/764670/rating/sale
ひとまず「玄」からいただきました。説明のとおり静かで雑味のない澄んだ味、という印象です。純喫茶によくある苦味強めの超深煎りとも違い、コーヒーショップによくあるフルーティで独特な浅煎りとも違い、個人的には飲みたかった上質な中(深)煎りでとても嬉しいです。
「妙」「坐」も飲むのが楽しみ!」
「コーヒーも、あれこれ色々試してみたい方だったのですが、斉藤珈琲さまに出会って、「お気に入り」が出来ました。こちらの3種類のブレンドは、いつも冷凍庫に確保しておきたい「病み付きコーヒー」です。」
(購入者さまのレビューより)
STEP.2 焙煎による味わいの違いを知ろう
自分好みのコーヒーを見つけるもう一つのポイントが、焙煎度合いです。焙煎度合いの違いはコーヒーの味わいに大きく影響するため、好みの焙煎度合いを知っておくとコーヒー豆が選びやすくなります。基本的には、焙煎が浅いほど酸味が強く苦味が弱い味わいに、焙煎が深いほど酸味が弱く苦味が強い味わいになります。
豆を買う時におすすめの焙煎度合いに幅がある場合は、1種類の豆を複数の焙煎度で買って飲み比べてみると発見があるかもしれません。
【浅煎り】
シナモンロースト
↑ ミディアムロースト
ハイロースト
シティロースト
フルシティロースト
↓ フレンチロースト
イタリアンロースト
【深入り】
主なコーヒーの銘柄と味わいの特徴
もっといろんなコーヒーを味わってみたい!知りたい!という方は、ストレートのコーヒー豆に挑戦してみてはいかがでしょうか。ストレートとは、ひとつの国や地域で作られたコーヒーのこと。ここでは、日本でメジャーなストレートコーヒーと、味わいの特徴をご紹介します。
■モカマタリ(イエメン)
「モカ」とは、港町の名前。その昔、イエメン・エチオピアで生産されたコーヒー豆はモカの港からヨーロッパに向けて輸出されたため、両国のコーヒーを総称してモカと呼んでいました。
その中でモカマタリは、野生的とも表現される個性的な酸味と香りが際立つ、イエメンの代表的なコーヒーです。
■エチオピア
コーヒー発祥の地とされるエチオピア。上でご紹介したように、エチオピアのコーヒーも「モカ」と呼ばれます。「モカ ○○」と生産地区の名前や等級などがついていることもあります。フルーティーな酸味と香りが魅力です。
■ケニア
しっかりとしたコクと重厚な風味が魅力。カフェオレにしても負けない強さがあり、深入りで楽しまれることが多いコーヒーです。
■キリマンジャロ(タンザニア)
かつて名峰キリマンジャロの斜面で栽培されていたため、タンザニアのコーヒーがキリマンジャロと呼ばれるようになりました。取引する際は国名の「タンザニア」が使われるそう。
バランスの良い酸味と苦味に、豊かな香りとクリアな後味が特徴です。
■マンデリン(インドネシア)
スパイシーな風味、重厚感のあるコクと苦味が特徴。「スマトラ式」という独自の生産方法もマンデリン特有の風味を生み出していると考えられています。深煎りの力強い香りと苦味はカフェオレにもおすすめです。
■ハワイコナ(ハワイ)
ハワイのコナ地区で作られる希少なコーヒー。爽やかで個性的な酸味があります。
1996年、ハワイの生産者たちが他国の豆をハワイコナと偽って販売していたことが発覚するという事件が起きました。これがきっかけでスペシャルティコーヒーではトレーサビリティが重要視されるようになった……というエピソードを持つコーヒーです。
■グアテマラ
多くが山の斜面で栽培されており、地域・標高で味わいのバラエティがあります。グアテマラでは標高が高いほど品質が高いとされ、コーヒーの等級も栽培地の標高で決まっています。全体としては、すっきりしたきれいな酸味と甘さを感じる香りとコクが特徴です。
■コロンビア
ブラジルについて世界第2位の生産量を誇るコロンビア。エメラルドマウンテンで有名でもあります。甘い香りに強い酸味とコクの、重厚感ある味わいが特徴です。
■ブラジル(サントスとも)
全世界の生産量の3分の1を占める、生産量世界第1位のコーヒー大国。適度な苦味と爽やかな香ばしさ、バランス良い飲みやすい味わいが特徴で、ブレンドのベースとしても広く使われています。
STEP.3 生産方法(精製方法)を知ろう
コーヒーの味わいには、生産方法の違いも寄与していると考えられています。生産方法とは、コーヒーチェリーからコーヒーの生豆を取り出すことで、精製方法ともいいます。
特に後述するスペシャルティコーヒー運動が盛んになってからは、個性的な味わいを出すために生産方法も工夫されてきました。
ウォッシュト
水につけてミューシレージ(コーヒー豆を包んでいる層)を分解し洗い流す方法。不純物の混入がなくきれいな味になりますが、大量の水を必要とするため環境への負荷が懸念されています。
セミウォッシュト(パルプドナチュラルとも)
機械で果肉や不純物を除去し、その際ミューシレージを全て取り切らずに一部残して、後からパーチメント(ミューシレージと生豆の間にある皮)ごと脱穀する方法。蜂蜜のような甘さとコクが出ると言われています。
スマトラ式
雨が多く設備も不十分だったインドネシアで生み出された、独自の精製方法。果肉を取り除いた後、ミューシレージが残った状態で表面を乾燥させ、脱穀して生豆を取り出した後に生豆だけをもう一度乾燥させます。
ナチュラル
収穫したコーヒーチェリーを丸ごと乾燥させ、一度に脱穀して生豆を取り出します。複雑な風味と甘さ、コクを感じられますが、欠点豆が混ざりやすく品質が安定しないデメリットがあります。
STEP.4 スペシャルティコーヒーを知ろう
特に優れた美味しさと個性的な風味があり、品質管理が徹底しているコーヒーを「スペシャルティコーヒー」と呼んでいます。コーヒー全体のわずか5%程度しかない希少なコーヒーで、日本では、日本スペシャルティコーヒー協会が下記のように定義しています。
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
日本スペシャルティコーヒー協会
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)
具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。
スペシャルティコーヒーの考え方は、1970年代にアメリカで生まれました。その頃コーヒーは激しい価格競争にさらされ、低価格・大量生産を求めた結果コーヒー豆価格の下落、賃金低下による農園の人手不足、コーヒー豆の品質低下を引き起こしました。コーヒーが美味しくなくなったことでコーヒーの消費量も大きく減ってしまい、コーヒー豆が売れなくなり放棄される農園もありました。
そのような状況を打破し、美味しいコーヒーを守ろうと提唱されたのが、スペシャルティコーヒーの概念でした。生産者へきちんと対価が還元される体制をつくり、安定してコーヒー栽培を続けられる環境を整えることで、未来の美味しいコーヒーを守っています。
Creemaでもスペシャルティコーヒーが数多く出品されています。ぜひその特別な味わいを体感してみてください。
シングルオリジンとは?
スペシャルティコーヒーのことを調べていくと「シングルオリジン」という言葉を目にします。これはストレートよりもっと範囲を絞ったコーヒーのことで、農園や生産者、豆の品種、生産方法、収穫時期などの単位で一銘柄としています。高品質の豆が他の豆と混ざることなく取引され、豆の個性を感じることができるコーヒーとして注目されています。
自分好みの一杯で、より豊かなコーヒータイムを
コーヒーのことを調べると、初めて聞く用語や、「どこどこの豆こそが美味しい」「淹れ方はこうあるべき」などの情報に尻込みしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。ですが、美味しいと感じる味わいは人によって違うはず。自分が美味しいと思うものを、美味しいと思う飲み方で自由に楽しめることが一番素敵なことのように思います。
ぜひいろいろなコーヒーを試して、自分好みの一杯を見つけてみてくださいね。